血管を守る食事法

  体の細胞はエネルギー源として通常はブドウ糖を用います。おなかが減っている時は力が出ず悲観的になりますが、食事をすると元気になり幸福感も出てきます。しかし血糖値の急速な上昇は血管を傷つけるため、速やかにインスリンが膵臓から分泌され血糖値をコントロールします。

  この膵臓からのインスリン分泌が減る病気が糖尿病です。糖尿病では食べ物を食べた後の血糖が急激に上昇し持続するため、血管が障害を起こして血管障害由来の病気になります。例えば目の網膜症と腎障害です。糖尿病の管理のポイントとして、この急激な血糖上昇を抑えることが挙げられます。

  食品の3大栄養素は、糖質、脂質、タンパク質です。この3つの栄養素の中で、直接血糖値を上げるのは糖質のみで、脂質とタンパク質は消化吸収された後、分解され糖質に合成されて初めて血糖値を上げます。急激な血糖上昇を防ぐ方法としては、まず、タンパク質や脂質を十分含む食品から食べ始めることが勧められています。つまり、食物線維の多い野菜やおかずから食べ始め、次に主食の米やパンなどを食べるようにします。このようにすると、血糖は徐々に上昇するので、膵臓からのインスリン分泌が遅い糖尿病の方でも、急激な血糖上昇を抑えることができます。デザートは糖質を多く含んでいますが、食事の最後に摂ることで血糖上昇を最小限に抑えることができます。

  食事前におなかがすいたからと、ほんの少しのせんべいやビスケットなどを摂ると、これらは糖質のために、一気に血糖が上昇し、その後の食事の時も高い血糖値のままになります。10時や3時のおやつも同じで、糖質からなるおやつによって血糖は急上昇します。

  糖尿病の方が、食品の摂る順番を指導されたり、おやつは避けるよう言われるのはこのような理由によります。

  糖尿病でない方でも膵臓に余計な負担をかけないために、日頃からおやつは控えるようにし、食事では主食を食べる前におかずから食べ始めた方がインスリンの必要量が減ります。インスリンは脂肪合成を促進するホルモンでもあるので、糖尿病を悪化させる食べ方は、全ての方の肥満の原因となり、また高脂血症を悪化させるので気をつけてください。

2022年5月15日 健康マンスリー