キズは自然に治る

1999年4月18日

 すり傷や切り傷は消毒して薬をつけますが、実はそんなことをしなくてもほとんどは治ります。私たちの体に自然治癒力が備わっているからです。
 この自然治癒力を活かすため、手当てをする上で大事なことがあります。(1)傷を洗ってきれいにする(2)正しく止血をする(3)傷の消毒をしない-ことです。犬や猫は傷をペロペロなめますが、これは傷の中の異物を除去しているのです。しかし、私たちの口の中はあまりきれいとはいえないので薦められません。家庭でまずやってほしいのは、流水で傷に付いたゴミをきれいに洗い流すことです。
 傷を洗った後はきれいなガーゼやタオルで静かに圧迫します。五分ぐらいで止血するはずです。出血部の血管は自然に収縮して血流が落ち、血小板などの働きで血は自然に止まります。
 最後に傷の消毒ですが、化膿した傷などひどいもの以外は消毒剤を使うとかえって感染が起きやすくなります。というのは、体には白血球が傷に集まり、ばい菌を殺す防御機構がありますが、消毒剤はこの作用を障害し、かえってばい菌が増えてしまうからです。
 中には自然治癒に反する薬剤もあるので注意が必要です。例えば、傷にパウダー状の異物を付着させる薬剤は、汚い血液をキズの中に閉じ込める上、かつ消毒剤を含むため、感染を引き起こします。国民生活センターからも警告が出ています。傷に対する正しい知識を持ち、私たちの自然治癒力をもっと信じたいものです。