キズのあるときの入浴

2002年7月21日

 昔から「体にキズのあるときは入浴してはいけない」というのが常識でしたが、実は間違っている場合が多いようです。
 キズの感染は、既にキズの中にいる細菌が増殖する場合と、外から細菌が侵入して増殖する場合とがあります。
 既にキズが感染しているケースでは、キズを覆うカサブタ(痂皮)などを切除してキズを開いた状態にします。その後は、できるだけキズの中をきれいに洗い流すことが大切です。この時に入浴やシャワーを行うと、キズの中がより速くきれいになることは一般的に知られています。
 では、キズが感染していない状態での入浴はどうでしょうか。キズの周囲皮膚には細菌がいますが、ガーゼ固定用に使ったテープの粘着剤や垢(あか)などの異物を栄養源として増殖し、キズに侵入します。この予防にはキズの周囲皮膚を清潔に保つことが大切で、入浴やシャワーが効果的です。
 さらに、キズは温めると血流が増えることから、入浴によって皮膚の中の免疫細胞も元気になり、感染予防効果のあることも証明されています。
 このようにほとんどの場合キズがあっても入浴は可能で、むしろ良い効果をもたらします。どうしても怖いときは、キズの部分に特殊なフイルム材を張って密閉し、入浴する方法もあります。