やけどの痛み

2003年5月18日

 火を使うことを覚えた人間は、その火を使うがゆえに「やけど」で痛い目に遭うことがあります。
 痛みは真皮までの浅い傷でより強く感じ、皮下に及ぶ深い傷ではむしろ痛みを感じないという特徴があります。やけどは浅い傷と深い傷が混在しており、この浅い部分が痛むのです。
 傷はこすったり、乾燥させたり、消毒したりすると痛みますが、このように痛む時は傷の治りが悪くなります。痛みを早く取るには、傷の表面を密閉して空気に触れさせないことと、傷を湿った状態にすることが大切です。
 例えば、傷を乾燥から防いでくれる油性の軟こうを厚く塗ると痛みが軽くなります。しかし、軟こうがガーゼに吸収されるとまた痛みが出てきます。このような時、ハイドロコロイドドレッシング材という特殊な粘着剤の付いた板状のドレッシング材(傷を覆うもの)を使うと傷が密閉され、次の交換時まで痛みがコントロールされます。
 厚生労働省は二〇〇一年二月からハイドロコロイドドレッシング材を、熱傷(やけど)だけには使えないような表現をし、県では〇二年から熱傷に使えなくなりました。ただ、熱傷潰瘍(かいよう)には使えるという解釈もあり、現場は困惑しています。どのような傷でも治る仕組みは同じなのですが、やけどの治療に有用な一つの方法が危機に面しています。