床ずれの予防と治療

2000年3月19日

 寝たきりの状態が長くなるとできる厄介なものに床ずれがあります。お尻の骨が飛び出したところ(仙骨部)にできることが多く、便や尿で汚れやすく、すぐに悪化して治りにくい状態になります。以前は「床ずれは治らない」と考えられていましたが、今では手間は掛かるものの治ることが分かってきました。治療にはまず、床ずれの原因を知ることが必要です。
 床ずれとは、体を動かせない状態で横になっていると、仙骨部など骨の飛び出したところの筋肉や皮膚などが圧迫のため血が通わなくなって腐り、潰瘍(かいよう)になった状態をいいます。従って予防や治療には、なんといっても骨の飛び出した部分に圧迫が加わらないようにすること(除圧)が大切です。これまでドーナツ状の枕(円座)を用いて床ずれのところを浮かすと良いとされてきましたが、これでは周囲に強い圧が加わることから、かえって床ずれが広がると分かり、今では使われなくなりました。
 正しい除圧の基本は、頻繁に体を動かすこと(体位変換)と、圧迫除去マットレス(エアーマットレス)を使うことです。エアーマットレスはある程度の厚みのあるものが必要です。自治体によっては高齢者に貸し出す制度もあるので、市町村役場に相談してみるとよいでしょう。個人的に購入する場合は、七~十万円くらいが目安になります。床ずれの予防と治療において、原因療法となるエアーマットレスは必須の用具だと知っておいてください。