足の爪の切り方

  今回は足の爪の話です。まず爪切りの基本を確認しましょう。足の爪は1カ月に1.5ミリほど伸びるので、爪切りは1カ月に1回くらいが勧められます。目安は、爪が指の先より伸びたら指の先より1ミリくらい短く切ります。爪を切るときは四角形よりも円形に切ることを勧めますが、角は決して切り込まないようにします。切った後の角張った所は軽くやすりでならしておきましょう。特に角の所はとがっていないようにします。


  爪を切り忘れて2〜3カ月すると、爪と皮膚の間に角質がたまり、伸びた爪と皮膚の境が分かりにくくなります。このようなときはヘラや爪ゾンデ(先端が小さな平形やカップ状になっている)で角質を取り除くと、爪が皮膚から分離して安全に爪を切れるようになります。

  ところで年をとってくると、目が見えにくくなり、また体が硬くなったりお腹が出てきたりして、自分で足の爪を切るのが難しくなります。爪切りをしなくなると、爪が食い込んだり、巻き爪になったり、厚い爪になったりして、場合によってはツノのように変形したりして、足に痛みを起こします。足がしびれている方などでは、気付かないうちに爪が皮膚に食い込み潰瘍になり、さらに進んで化膿して血や膿が出てくる場合もあります。爪の処置をしなかったために、痛みで歩かなくなり寝たきりになる方もいます。あるいは足の感染が悪化して、糖尿病や動脈硬化のある方などでは足の切断に至ることも珍しくありません。

  医療的な処置が必要な爪としては、巻き爪、肥厚爪があります。定期的な爪切りを怠りこのようになると、麻酔をして医療的処置が必要になります。肥厚爪では足白鮮(カビ)を併発していることもあり、爪の処置には感染予防対策をした上でグラインダーが必要になります。爪が長くなりすぎたり、爪と皮膚の間に角質がたまったりした場合など、家族や介護者が爪切りに不安な場合も医療機関を受診して早めに処置してもらいましょう。

  医療的処置が必要になる前に、足の爪を見ることを習慣にして、月に1回程度の爪切りをすることが、元気に過ごす上でも大切なことです。

2023年5月21日 健康マンスリー