最近は中高年になられても運動をされる方が増えています。十分に運動をして筋肉がしっかり付いているのを見て、すごいなと感動する場面も多くあります。一方でかなり運動をしているのにあまり筋肉が付いていない方、また筋肉というより脂肪が多くて運動効果が出ていない方も見かけます。どうしてこんなに差がつくのでしょうか。
運動では、かなり多くのエネルギーを消費します。エネルギー源であるグリコーゲンがなくなると、体は筋肉を壊してエネルギーにします。筋肉は一部が壊れてしまいますが、エネルギーが十分に補給されれば、より丈夫な筋肉に作り直され、筋肉量は増えていきます。
しかし、しっかり運動していても筋肉量の少ない方の中に、空腹時に運動される方がいらっしゃいました。空腹時に運動をすると、エネルギー源がすぐになくなってしまいます。そのため筋肉がより多く壊れて、再生が不十分となり、結果として筋肉量が増えません。このような方の場合、運動前に軽食などでエネルギー補給することが必要です。さらに壊れた筋肉を補強するため、運動後30分以内にたんぱく質10g程度の摂取をお勧めします。
また運動をしているのに筋肉が増えず脂肪が増える方の中に、運動後の空腹を満たすため、毎回おいしいデザートをしっかり食べる習慣のある方がいらっしゃいました。デザートは糖質で、たんぱく質がほとんど含まれていません。糖質は筋肉の再生には使えず、過剰な分は脂肪となって身体にたまっていきます。
運動前に摂取するエネルギーとして、以前は糖質が勧められていましたが、最近は糖質のほ
かに脂質やたんぱく質を含んだ食品が勧められています。運動後に摂取するたんぱく質は、たんぱく質強化補助食品で構いません。ただし糖質がある程度含まれている場合は、取り過ぎに注意してください。
最近は、座りっぱなしの危険性が指摘されています。運動をしない方についても30分に1回立ち上がるだけでも転倒予防や、寿命を延ばす効果が報告されています。まずは座りっぱなしにならないようにし、できれば散歩やスクワット運動、かかとあげ運動など、手軽にできる運動を組み合わせて、生活の中に取り入れていくことから始めたいものです。
2024年5月19日 健康マンスリー