水分補給の重要性

2006年5月21日

 私たちの体は細胞の集まりでできていますが、すべての細胞の内部環境は一定になっています。これは細胞内に老廃物などができても直ちに血液など細胞外液に排出されるためですが、このとき水は重要な役割をします。細胞から血液中に捨てられた不要物は、水の移動とともに尿成分として、主に腎臓の働きで体から排出されるのです。このように、細胞集合体の生命を維持するには、尿量を一定以上に保つ必要があります。尿量は一日1,500ml以上が理想で、500mlは危険状態です。尿の他に汗(不感蒸発)として皮膚から1,000mlが出て、皮膚の乾燥予防と体温調節に使われますので、体からは総量として2,500ml程度の水が失われることになります。
 ところで、私たちは食事に含まれる水分として1,000ml以上を、飮水として1,500ml程度を摂っているので、普通に飲食していれば脱水にはなりません。しかし、風邪などの病気で食欲が低下し、飲食による総水分摂取量が1,000ml以下になると、尿量低下と発汗減少(皮膚や舌の乾燥)が起こり、意識が朦朧としてきます。
 特に高齢者では普段から飮水の少ない方が多く、容易に脱水になるため、これらの症状がみられたら直ちに静脈から点滴輸液を行う必要があります。最近、点滴液に類似した経口補水液(OS-1等)が市販されましたので、これらを飲むことで、点滴をせずに済む例もあります。