傷を治す上で大事なことは、「化膿させない」「痛くさせない」ことです。傷は皮膚の下が露出した状態で、ばい菌は傷から侵入して感染を起こし、感染が起これば強い痛みが出ます。
感染を防ぐポイントは、傷の中の汚れを徹底的に取り除くことと、傷の外からの汚れを防ぐことの二つです。傷の中の汚れには洗浄が有効です。水道水で十分に洗い、汚れがひどいときは、せっけんを使って洗います。ついでに傷の周りの皮膚もせっけんできれいに洗いましょう。なぜここまで洗うかというと、汚れにはばい菌がついているからです。洗浄する際、最初はちょっと痛みますが、その後はしびれて痛みは軽くなっていきます。また傷の消毒は痛いだけで汚れは残り、無意味なので止めましょう。
傷を洗ってきれいになったら、傷の外からの汚れを防ぐ処置を行います。これも痛みの少ない二つの方法を示します。一つ目は、油性の軟膏をたっぷりと用い、商品で言えば「メロリン」や「モイスキンパッド」など、傷に付かず、外部からの汚れを通さない非固着性材料で保護します。このとき従来のガーゼを使ってもいいのですが、乾燥すると痛くなり、またガーゼは汚れを通してしまうので、交換は1 日に最低3回は行ってください。
二つ目の痛くない方法は、軟膏は使わず、緊急絆創膏類の「キズパワーパッド」のような粘着密閉型のパッドを使うことで外からの汚れを防ぎます。非固着性材料、粘着密閉型パッド、いずれの場合も、1日に最低1回は交換が必要です。さらに交換の度に、傷を十分洗浄してください。この時も消毒は不要です。
ここで注意点です。最初に傷の中の洗浄をした際、どうしても汚れが取れなかった場合には、粘着密閉型パッドは使いません。必ず非固着性材料を使ってください。
傷をした場合、手洗いや顔の洗面、入浴・シャワー浴について、基本的に制限はありません。むしろ積極的に行うことを勧めています。ただし、掃除や洗濯、炊事は傷を汚染する可能性があるので、必ず手袋をするなどして、汚れないよう注意してください。
重要なことはよく洗うことで、パッドなどの交換時にも毎回よく洗うようにしましょう。よく洗っていればめったなことは起こりません。もし傷が痛むとき、特にズキンズキンと痛むときは感染していると考えられます。直ちに医療機関を受診しましょう。
2025年5月18日 健康マンスリー