キズをしたらよく洗い、入浴もする

2011年12月18日

 キズができると誰もが心配することは、化膿(キズの感染)しないかということです。その結果「キズを濡らしてはいけない」と考え、入浴を禁止することが多いようですが、本当にそうでしょうか。
 キズの感染のほとんどは、外からの細菌の侵入によっておこりますが、ぜひとも避けたいものです。ところで、外からの細菌侵入とは、つまりはキズの周りの皮膚にいる細菌によることが、最近の研究で分かりました。さらに、キズの周りの皮膚をきれいにして細菌数を減らすと、キズの感染が減ることも分かりました。
 具体的には、キズおよびキズ周囲の皮膚を十分に洗浄することが大切なのです。しかも洗うお湯の量は、多ければ多いほど良いのです。外傷によるキズの場合、お湯の量をドンドン増やしていくと、入浴やシャワー浴になります。つまり究極のキズ洗浄は、入浴なのです。
 しかし「お風呂のお湯に細菌がいるではないか」とお考えでしょうが、感染は少量の細菌ではおこりません。お風呂のお湯の中には細菌がいても極めて少量であり、それがキズ感染の原因になることはまず考えられないのです。
 考えてみれば、ほとんどの温泉の効能に、キズやヤケドと書いてあります。われわれ日本人は昔からキズに温泉がよいことは分かっていたのです。いつからキズをしたら入浴してはいけなくなってしまったのでしょうか。
 「キズをしたらよく洗い、入浴もドンドンしましょう」が正解です。先人の教えの正しかったことが、最近の新しい研究で証明されたのです。