糖尿病では膵臓を休めることが大切

2007年5月20日

 膵臓から分泌されるホルモンのインスリン量が不足し、体のバランスを維持できなくなった状態が糖尿病です。したがって全ての糖尿病の治療は、この不足するインスリンを補う方法なのです。
 理想的な糖尿病治療は、膵臓を休ませて元気にするとともに、膵臓の出すインスリンを有効に使って体のバランスを維持することです。
 まずは、夜遅く(午後8時以降)にカロリーのあるものを摂らないことが大切です。この時間帯に栄養を摂ると、夜中から翌日までずっと高血糖になるため、膵臓はインスリンを出し続け疲れ切ってしまい、昼間も血糖値を下げることができなくなってしまうのです。
 次にやることは3食しっかり食べるとともに、間食をしないことです。
 これらは消極的な膵臓の保護ですが、積極的な治療は運動です。運動をすると体の細胞はインスリンをうまく使えるようになり、少量のインスリンでも体のバランスが維持しやすくなるのです。また運動によって筋肉量が増えると、筋肉が糖を消費するため、血糖値が上がりにくくなります。
 そして重要なのは運動の時間帯です。糖尿病の合併症発症にとっては、高血糖と低血糖の繰り返しが良くないのです。どうせ運動をするのであれば、一番血糖値が上がる食後30分から1時間の間に運動することを勧めます。逆に運動時間として一番悪いのは、血糖値が一番下がっている食直前(空腹時)です。いずれも、血糖値が高い時に運動をし、血糖値が低い時には血糖値を下げる運動を控えることで、血糖値の変動を少なくすることができます。さらにもう一つ、運動は夕食後から寝る前の時間帯が最も有効です。
 ついでにもう一つ、糖尿病早期のインスリン注射は膵臓を一時的に休ませ元気にする方法の一つです。最近は膵臓に優しい内服薬もあります。食事療法・運動療法・インスリン注射のいずれもが同じ理論(膵臓をいたわる方法)の元に行われるのです。