床ずれを正しく恐れる

2018年5月20日

 床ずれは、寝たきりや下半身麻痺の方にできる、圧迫が原因の外傷です。座っていても寝ていても、同じ姿勢でいることは大変苦痛です。でも、身体を動かせないときや、神経障害や意識障害で痛みを感じないときなど、同じ姿勢をとり続けます。下になった所では血の流れが止まり、やがて組織が死んで床ずれになります。
 圧迫による組織障害は、皮膚表面よりも体の奥でより強くおこります。皮下出血程度しか観察できなくても、つまんで皮膚の下が硬いことが多く、そこは死んだ組織です。このままだと皮膚は1~2日で黒くなり、やがて感染して数日のうちに膿が出てきます。治すのに半年以上かかる床ずれです。
 床ずれは圧迫の他に「ずれ」にも気を付けましょう。寝たきり予防目的で、ベッドの背上げや体位変換枕を入れることがあります。この時、お尻や背中などが水平方向に引っ張られ、「ずれ」や「まさつ」がおこります。この「ずれ」や「まさつ」も床ずれの原因になります。
 このように、寝たきりになると圧迫や「ずれ」で床ずれができやすくなりますが、決定的にするのは「栄養不足」です。カロリーやたんぱく質が不足すると、圧迫や「ずれ」で傷んだ組織は回復できなくなります。
 皮下出血があったり、皮膚の下に硬いものがあったりしたら、直ちに訪問看護師やかかりつけ医に知らせて、床ずれ治療を始めてもらいましょう。
 しかし、床ずれは予防が大切です。食事の量が減った、水分を摂らなくなった、尿量が減った、しゃべらずボーっとしている、動かなくなってきた等は、床ずれができやすい状態です。このような時も訪問看護師やかかりつけ医に相談して、床ずれ予防マットレスを使い始め、「ずれ」を起こさない体位変換法などを指導してもらいましょう。また栄養改善の方法を教えてもらいましょう。
 床ずれは悪化させると命を脅かす病気で、ご自分あるいは親族の誰もができる可能性があります。でも予防できる病気ですから、正しく恐れて早期に対応しましょう。