口から食べることの大切さ

2010年5月16日

 われわれは何気なく食事をし、水分も取っています。また言葉を話したり、呼吸をしたりなど、口やのどはさまざまな働きを受け持っています。これらには、実に脳の1/4~1/3が関与しています。
 歯が悪くなり丸のみしたり、一人暮らしでしゃべらないと、口やのどの筋肉も急速に衰え、ちょっとしたことでむせやすくなります。唾液の分泌も少なくなり、口の中の雑菌数は急速に増えます。この汚い唾液を誤嚥(誤って肺に入ること)すると、肺炎になり体力が低下します。
 近年口腔ケアや飲み込み訓練の重要性が強調されるようになりました。目的は頭の働きを活発化させ、肺炎を予防し、そして食事を楽しむためです。
 口腔ケアは毎食後に口の中をきれいにすることです。入れ歯であっても毎食後ブラッシングできれいにします。夜間に入れ歯を外すと、しだいに入れ歯が合わなくなります。寝ている間もきれいにした入れ歯をつけておきましょう。
 飲み込み訓練は、まず唾液をしっかり出すことが重要です。唾液の少ない人は、食前に棒付きあめやスルメなどを1~2分なめたりかんだりして唾液を出します。あるいは氷をなめて口の中を刺激します。ほおを膨らましたりへこましたりする運動や、舌で左右のほおを押したりする運動も有効です。
 食事は軟らかくツルリとしたものは食べやすいのですが、かめる範囲内でできるだけ硬くて大きめに調理されたものにすることで、食べる能力の低下を防ぎましょう。
 口腔ケアと飲み込み訓練を毎日行うことで老化を防ぎ、いつまでも食べる楽しさを持ち続けたいと思います。