低温熱傷に注意

2013年12月15日

 これから寒さが続く季節となりました。部屋全体を暖める暖房器具は普及しましたが、それでも電気あんかや使い捨てカイロのように、体の一部をしっかりと暖めてくれる用具も手放せません。これらはそれほど高い温度になりませんが、寝入る時には気をつけなければなりません。
 電気あんかや使い捨てカイロの上に体が乗ると、熱源は体で覆われ温度が上がっていきます。さらに軽い圧迫も加わります。寝込んだ時には、同じ姿勢を1時間以上とることになりますが、体で覆われた部分の温度が50度以上になると、体の細胞は死に始めます。比較的低温であることと、圧迫による軽いしびれがあるために、あまり痛み無く時間が過ぎていきます。この時、熱は皮膚表面だけではなく皮下深くまで達しており、そこの組織も死んでいきます。
 目が覚めてから痛むのですが、実は体の表面は痛みに敏感ですが、皮下の深いところは痛みに対し鈍感なため、当初あまり痛くありません。やけどになったことは分かるのですが、初めはそれほどひどいとは思えません。しかし皮下の深くまで細胞は死んでおり、しだいにやけどの傷は深くなり、痛みも増します。その段階で、病院を受診しますが、見ためはまだ大したことはないのです。しかし、どのような治療をしてもさらに悪化し、やがて深い潰瘍になります。これが低温熱傷です。実は当初から、つまむと皮下に硬い組織(硬結)が触れ、深いところで組織障害があることが分かります。
 治療は、当初から低温熱傷と認識し、傷を密閉して細菌侵入を予防しつつ、死んだ組織を少しずつ切除していきます。治るまで大体2~3ヶ月くらいかかります。
 予防は、電気あんかの上に体をのせないこと。また使い捨てカイロは体の下になる部分に用いないか、寝る時には外しておくことです。
 低温熱傷の患者さんはかなり多いため、対処法を書くとともに、注意喚起いたしました。