第18回 「褥創対策委員会」

2005年1月20日

 今回は症例提示ではなく、2年半くらいにわたる褥瘡対策委員会の流れなどについての報告と問題提起でした。危険因子の評価やブレーデンスケールなどはパソコン入力できるようにし、また体圧分散寝具は中央管理にしてパソコンで管理しているとのことでした。エアーマットレスの導入は日常生活自立度を基準に決めており、マットレスが不足する場合の優先順位はブレーデンスケールの評価を利用しているとのことでした。ケア計画や評価はSOAP方式をとっており、局所療法などのケアの選択はDESIGNをもとに、金沢大学のものを改変した医師用と看護師用の二つのマニュアルを使っているとのことでした。
 問題点としては、スタッフのレベルがさまざまで、せっかくのアセスメントがケアに結びつかない方もいることと、栄養管理が難しい症例があることのようでした。また、栄養改善を主治医が受け入れてくれないこともあるとのことでした。
 他施設からの参考意見として、ブレーデンスケールを危険予知として使用し、できた褥創にはDESIGNを使っているとのことでした。栄養評価はNSTの巡視を受けており、また月1回「新規褥創数」「持ち込み褥創数」「継続褥創数」を公に発表しているとのことでした。これが良いモチベーションになっているようでした。
 更に別の施設では、リーダーシップをとる人の存在が大切である。また、体圧分散寝具が一般的に不足しており、使用する患者の優先順位を決めるのが難しいとのことでした。
 栄養改善については会場からいろいろな意見が出、始めは経静脈栄養から経腸栄養への変更が主な考え方でしたが、次第に経口摂取への変更の方が重要との認識になり、STやPT、あるいは管理栄養士の重要性が増してきていることが報告されました。さらに、PEGを入れれば良しという風潮に対し、PEGを入れて栄養投与ができるようになるだけでは不十分で、入院中に経口摂取の訓練を行ってから在宅へ返すべしとの意見がありました。
 これに対し、訪問看護ステーションから、PEGの方も唾液の誤嚥があるので嚥下のリハビリや口腔ケアが必須で、これをやっていると口の動きが良くなり経口摂取が可能になる例が有ったことが報告されました。これについては、「PEGを入れる時点で耳鼻科から摂食嚥下障害の診断がでており経口摂取の訓練はPEGを入れた例では全く考えていない」とした施設の再考が促されました。しかし、「在宅でこそ摂食嚥下訓練が可能ではないのか」という意見や、「家族や本人の熱意の有無が最も影響する」との意見が出されました。
 いずれにしても、「PEGを入れた例でも摂食・嚥下訓練はやはり必要」なことや「口から物を食べてもよい」ことを、PEGの導入にかかわった医師や看護師は家族や本人に伝えたほうが良いと結論されました。
 最後に、褥創の良い写真の取り方の質問があり、デジタルカメラできれば一眼レフが良いこと・ディスポの紙製物差しを写し込むこと・焦点は中央焦点にしフォーカスロックを使用すること・露出はマルチ測光にすること・写真の中央に必ずしも褥創をもってこず全体の様子が判るように写し込むこと・条件を変えて何枚も撮りモニターで確認すること・フラッシュの精度が良く充電が速いカメラを選ぶこと等が話されました。