下痢便への対応

2020年3月8日

水分量の増えた便が水様便であり、その症状を下痢と呼びます。下痢の原因には、ウイルスや細菌による感染症、乳糖不耐症や塩類下剤など浸透圧上昇によるもの、腸の運動異常によるものなどが挙げられます。乳製品や下剤を摂っている場合は、中止してもらいます。下痢をしていて血液や膿が混ざっている場合は、胃や大腸の潰瘍や癌などからの出血、あるいは潰瘍性大腸炎なども考えられ、至急で精密検査が必要になります。それ以外の場合は、多くはウイルスか細菌による腸炎を疑われることから、便の細菌培養検査を行います。食品関係に従事している人や高齢者など免疫力の低下している人では、細菌培養検査の他にノロウイルス検査も選択されます。

治療としては消化薬・整腸薬・漢方薬の整腸薬などが処方されます。腹部症状が強い場合は、ホスホマイシンをはじめ細菌性腸炎に適応のある抗生物質が処方されます。

変わった下痢として、多量の硬便が直腸にたまると直腸炎による滲出液が増え、硬便表面が溶けて水様便状の下痢が持続する場合があります。このような場合、摘便と浣腸、および水分摂取と下剤で解消されます。いずれの下痢であっても、脱水状態になっているため、水分補給が必要です。下痢便には電解質も多く含まれており、単なる水分補給ではなく、経口補水液(例:オーエスワン®[OS-1])で補います。吐き気や嘔吐が強い場合は、末梢静脈輸液が必要になります。