糖尿病の足について

 「糖尿病の足」と言われるくらい、糖尿病は足の注意が必要です。足切断術は外傷(交通事故や怪我)、悪性腫瘍、血行障害や感染などの疾病や先天性障害が原因となりますが、疾患としては糖尿病が多いのが現状です。
 何故でしょうか? まず、①下肢の動脈硬化による血流障害が挙げられます。血圧は腕より足が高いのが通常ですが、逆転するときは下肢の動脈狭窄が疑われます。足背動脈拍動の左右差、足の色や温度の左右差、間欠性跛行(歩くと下腿後面に疼痛が出現し休むと治る。心臓の労作性狭心症に相当。)は危険な徴候です。また、②末梢神経障害で知覚低下すると傷に気付かず、その結果、感染の発見が遅れます。③感染に対する抵抗力は血糖コントロール不良時には低下し、感染が悪化するとさらに血糖値が高くなるという悪循環に陥ります。④自律神経障害による発汗異常では皮膚が弱くなったり、また皮膚の微小循環調節は自律神経の重要な働きです。⑤網膜症で足の病変に目が届かないのも発見が遅れる一因と言われます。
 動脈硬化、末梢神経(知覚神経・自律神経)障害、網膜症、高血糖と感染の悪循環などは、正に糖尿病の典型的な合併症です。足切断は極力避けたいが、足の感染が進行すると内科的治療だけでは治癒が困難となり、命を守るためのやむを得ない治療と位置付けられます。
 感染部位から細菌やその毒素が血液中に入ると高熱、敗血症が起こり、それに対しては抗生剤を点滴します。血液中の細菌を抑え込めても、血液が滞っている壊死部位には抗生剤を完全に効かせることは困難であり、一旦解熱し改善しても抗生剤を中止するとまたその部位から細菌が広がり始めます。そして再度さらに抗生剤。そのうち抗生剤が効かない耐性菌へと細菌は変化していきます。心臓の弁に細菌が付くと心臓弁膜症が突然進行して心不全に陥ったり、他の臓器に菌が感染 巣・膿瘍を作ることもあります。周知のとおり強力、大量、長期間の抗生剤は、腎臓・肝臓などに有害で、また腸内細菌叢が破綻されて激しい下痢や腸管からの細菌・毒素の体内への吸収が起きるなど、極めて危険です。切断適応は生命保護にやむを得ないと複数の医師で判断して、患者さんに選択の相談となります。
 普段の血糖コントロールを良好に保ち、平素から足の血流状態や傷・水虫・胼胝(たこ)・巻き爪などの有無を確認(本人や家族で)することが重要です。低温火傷や靴擦れ、誤った爪切りはしばしば重篤な結果をもたらします。睡眠中の足元の電気アンカやカイロ類は深部まで火傷が進行しても気付かないことがあり使わない、靴は自分に適合したもの(シューフィッターという専門職もあり)を、また正しい爪切り法など、フットケアについて学びましょう。