血糖値と合併症の関係

 慢性的な高血糖の状態を糖尿病と言いますが、糖尿病の合併症を避けるためには2つのタイプの高血糖に気をつける必要があります。
 一つは【A】平均して血糖値が高い状態で、HbA1c(約1ヶ月半の平均的な血糖値を反映)が指標として頻用されます。もう一つは【B】血糖値変動の大小であり、特に食後の高血糖の程度が重視されています。HbA1cがいくら良い数値を示しても、高血糖と低血糖を繰り返していた結果として平均値が良いというのでは困ります。
 【A】は、いわゆる3大合併症(細小血管障害)である網膜症・腎症・神経障害との関係が強く、【B】は心筋梗塞や脳血管障害の悪化・誘因と関係が深いと言われます。【A】を改善するには日々の摂取カロリー(食事単位数)と消費エネルギー(基礎代謝や運動)を意識する必要があります。いわゆる食事療法と運動療法です。【B】については、食直後の急激な血糖上昇を防ぐ必要があり、いろいろな工夫がされています。例えば、①吸収しやすい糖類を減らす。②時間をかけてゆっくりと食べる(よく噛む)。③食物繊維を十分に摂取する。④食べ物の順番を考慮する。などがあります。これは一般には蛋白質を最初に食べて、糖質を後回しにするということです。もちろん野菜のような食物繊維の多いものも早い時点で食べたほうがいいと思います。
 それではなぜ蛋白質を先に食べると食後の高血糖が改善されやすく、糖尿病にも良いと言われるのでしょうか?その理由は次回のコラム「蛋白質を糖質より先に食べる訳とは?」で説明します。