当院の痔の手術

  • いぼ痔(内痔核)、切れ痔(裂肛)、あな痔(痔瘻)など全ての痔の手術は、原則的に1日入院(日帰り手術)で行っています。手術日は毎週水曜日と木曜日で、完全予約制で行っています。
  • 手術に当たっては、全身の診察と今までの病歴等をお聞きします。この時、一般血液検査と尿検査、および胸部レントゲン写真と心電図もとらせていただきます。そのほか、服用中の薬などの確認もさせていただきます。時に一部の薬を手術前に中止してもらう場合もあります。これらの検査の結果、手術時に酸素吸入をしていただく場合もあります。
  • 麻酔は、仙骨硬膜外麻酔という腰椎麻酔の一種を用います。仙骨硬膜外麻酔を用いることで、手術後によくみられる頑固な頭痛も避ける事ができます。
  • 手術後は、手術翌日の午前中まで、一般的に手術部(肛門部)がかなり痛むものです。それを避けるために、当院では仙骨硬膜外麻酔に使った細いチューブを使って、持続的に微量の痛み止めを流します。このことで、痛みをあまり意識せずに済ませるため、安心して家へ帰ることができます。
  • 手術後は、翌日あるいは翌々日に外来を受診していただき、手術部(肛門部)の状態を診察します。この時、痛み止めのチューブを抜くことが多いのですが、患者さんが痛みに対して不安が強い場合は、さらに2~3日入れておくこともできます。なおチューブは自分で簡単に安全に抜くことができます。
  • 手術翌日あるいは翌々日の診察後は、翌週に一度診療をし、その後1ヶ月間は1~2週間に1回程度の通院をしていただき、状態を確認していきます。
  • 手術後は、4日前後の間仕事を休まれることをお勧めしますが、手術翌日から仕事をされる方もいらっしゃいます。

いぼ痔(内痔核)の手術

  • 内痔核は、3ヶ所くらい大きく腫れて脱肛していることが多いため、一般的に3か所の痔核を切除します。時に4か所切除することもあります。切除後は手術後の痛みを少なくし、傷の治りを早くするために、切除部の2/3くらいを縫合閉鎖し、肛門の外側の1/3くらいを解放したままにします(半閉鎖法)。したがって、手術後1~2週間は薄い血液が手術部から少量出ますが、このことで手術した肛門が腫れるのを防いでいます。手術部からの薄い血液は、女性用生理ナプキンなどを2週間前後用いることで対応していただいております。
  • 術後は一般的に便秘になるので、下剤を服用していただきます。手術後2~3週間は、排便後紙で拭かず、ウォッシュレットなどで流し、水分をトイレットペーパーで拭き取ってください。なお創部の消毒は不必要で有害ですから、しないでください。
  • 入浴は手術翌日からどんどんすることをお勧めします。肛門部をお湯につけることで、痛みが和らぐだけではなく、傷の治りも早くなります。可能であれば1日に何回でも入って下さい。

切れ痔(裂肛)の手術

  • 裂肛は肛門括約筋の緊張が強すぎるためにおこることが多く、この場合、肛門括約筋の一部を切開して緊張をとる手術をします。
  • 手術自体は比較的短時間で終わりますが、麻酔を仙骨硬膜外麻酔で行うため麻酔に時間がかかることから、手術時間が長い印象をもたれると思います。
  • ただし裂肛の中には、皮膚をずらすなどの形成手術を併用する必要のある場合があり、この場合はもう少し時間がかかります。
  • 術後の注意点については、内痔核の項をお読み下さい。

あな痔(痔瘻)の手術

  • 肛門部では、腸の粘膜から皮膚へと移行する部に分泌腺があります。この分泌腺に細菌が入り込み、肛門周囲膿瘍という感染創がおこることがあります。これが治った後、肛門と皮膚の間にできる瘻孔(トンネルのような傷)のことを痔瘻といいます。
  • 痔瘻には、比較的浅く直線的で単純なものから、深くて入り組んだトンネルを作ってしまった複雑なものまであり、一口に痔瘻と言ってもいろいろです。
  • 痔瘻の手術は、この肛門部で細菌の入り口になった部分と、その奥の感染した不良肉芽部分(ドロッとした腐った組織)をきれいに取り除くことが一番重要です。その上で、できれば瘻管(トンネルの壁)と、皮膚の出口部分も切除します。
  • 瘻孔にはいろいろなタイプがあるため、肛門の機能を損なわないで、かつ再発しない手術方法を、症例ごとに選択しています。複雑な手術の場合は1時間以上かかることもあります。
  • 手術後の注意点は、内痔核の項をお読み下さい。

新しい痔の手術「四段階注射法」の御紹介

  この度、脱出性内痔核に対する新しい手術法として「四段階注射法」が承認され、当院は指定医療機関となりました。

「四段階注射法」手術とは

  この方法は脱出のみられる内痔核が適応で、痔核に対し「ジオン注」を注入することで、痔核への血流を遮断し線維化させて痔を治す手術法です。 原法は中国で始められました。日本では2005年3月から保険適応となりましたが、誤った手技を用いると、肛門狭窄や激痛がおこります。そのため、特別の講習を終了した肛門外科専門医にのみ、この薬剤の使用が許されています。今回は全国で200名あまりが認定される予定です。

「四段階注射法」の特徴

  「ジオン注」による「四段階注射法」手術は、痔を切除する方法ではありません。したがって、手術翌日でも多少痔が小さくなった印象しかなく、痔核の消失には手術後約1ヶ月を要します。 「ジオン注」の副作用としては2週間後に軽い発熱がみられる例があります。また、注射部位に潰瘍ができたり一時的に肛門が狭くなったりする例がまれにあります。

「四段階注射法」の導入にあたって

  高岡駅南クリニック院長は、「四段階注射法」手術手技の講習を終了し「ジオン注」の使用が可能になりました。今後痔の切除手術に、必要な場合に限って「四段階注射法」を併用することで、さらに手術の効果を高めていきたいと思っています。 なお「四段階注射法」のみによる手術を希望される方は、その旨お申し出ください。ただし、外痔核や肛門ポリープなどを合併していた場合は、この部位に対する手術療法をあわせて行う必要があります。 いずれにしても説明を充分にさせていただきます。解らない点は御遠慮なくお尋ねください。

手術料金表

内容 1割 2割 3割
胃・十二指腸ファイバー 3,330 6,670 10,000
腫瘍切除術 3,240 6,480 9,720
縫合(薬剤料別) 1,150 2,260 3,950
大腸ファイバー 5,540 9,500 13,300
大腸ポリープ切除術 9,930 18,200 26,500
痔手術(日帰り) 8,800 17,000 25,000